挑戦始まる8年目
本日、デビューして丸7年が経ちました。
7年!
こんなにも長い期間、毎年新しい物語を発表できたのかと思うと、とても感慨深いです。
「デビューはスタート地点です」
プロになってまず耳にしたのは、この言葉でした。
芸能界、スポーツ界、音楽業界。
プロの世界はどこも同じかと思いますが、デビューしてから、長い旅が始まります。
小説家でいることは、泳ぐことに似ています。
広い広い海を、とにかく泳ぐ。
止まれば沈むし、正解もゴールもありません。
想像の世界はとても自由で残酷です。
そして同じくらい美しく、胸おどるものです。
いまも書きたい物語がたくさんあります。
とはいえ、なんでも書けばいいなんてことはありません。
出版社のカラーだったり、流行っているものだったり、ページ枚数だったり。
あと締切ね……!
この7年で学んだのは、「書き続けること」はままならないものだ、ということです。
かの江戸川乱歩が『悪霊』の連載に行き詰まり、連載の途中で紙面に読者への詫び状を載せ、完結をあきらめたのは、有名な話です。
夏目漱石もすらすらと執筆できたわけではありません。
生まれたばかりの子どもが泣き出したり、金を貸してほしいと知人がやってきたり。
日常の中で一進一退。
執筆の集中力を保つのは大変なことだったでしょう。
……なんて文豪エピソードに思いを馳せつつ、今日も全力で締切から顔をそらしています。
ホントに、そろそろ、モロモロ、やばい。
そんなこんなですが。
本当に幸せなことに、私はどの作品も自信を持って世に送り出すことができました。
つたない部分はあるし、いまならもっと上手に書けるかもしれません。
それでも。
その時の最高のものをお届けできたと胸を張れます。
ひとえに、それができる環境を整えてくれた担当編集さんのおかげです。
担当さん、ありがとう。
そして、読んで支えてくれる、画面の向こうのあなたへ。
いつも作品を応援してくださって、本当にありがとうございます。
私の環境も少しずつ変わってきました。
現在は一緒に仕事をしないかと声をかけてくださる方も増え、新しい企画がいくつか動いています。
変わらず『オーダーは探偵に』シリーズをメインに、8年目は新しいことも始めたいと思います。
これからも、どうぞよろしく!
***
写真は隅田川。
手前の柵は木製で、かなりの規模です。
かつて材木を置いていた場所の囲い部分だそうです。
高層ビル群の中にひょっこり異なる時代のものが顔をのぞかせる。
東京の不思議な空気感がたまらなく魅力的です。
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