台湾版がぞくぞく刊行されました!
今回は気になる記述を見つけたので、日本の出版業界の話をまじえつつ、紹介したいと思います。
まずは台湾版。
4巻で帯の色が変わってしまった……さみしい。
これはこれでかわいいですね。
立てておいてある、ちょっと小さな本がオリジナルの日本語版です。
おかざきおかさんのイラストをこのサイズで楽しめる台湾の方が、とてもうらやましい。
ところで、日本で出版される海外文学には「翻訳者あとがき」というものがあります。
翻訳者さんが、訳した作品についてあとがきを書いてくれるシステムですね。
台湾語版はどうなっているかといいますと、
翻訳者あとがきはありませんでした……。
残念。
代わりに、私のあとがきがありました!
ジーザス!
私のたわごとが翻訳されてる!!
「ブレザーと詰め襟、どっちが王子ぽい?」とか、作者の愚行がだだもれです。
世界に向けて発信されると知ってたら、もっと気の利いたことを書いたのに……!
ちなみに前の記事で、
「登場人物の名前をひらがなにしたら、中国の漢字をあててもらえたのかな?」
と書いたのですが。
なんと、「ひらがな」はそのままでした!
1番左の行、「おかざきおか」さんの表記があります。びっくりです。
ひらがなはそのまま伝わるんですね。
そして 〈老師〉という表記が非常に興味深いのです!
オリジナルのあとがきは、「おかざきおかさん」「担当編集者の三木さん」となってます。
台湾版はどうなったかというと、
(日本)おかざきおかさん→ (台湾)おかざきおか老師
(日本)三木さん→ (台湾)三木先生
と、訳されました。
たしか〈老師〉は中国語で先生の意味だったと記憶してます。
中国語の〈先生〉は、目上の男性に使う敬称かな?
ちょっとややこしいですが、台湾語版を日本語に訳すと、
(台湾)おかざきおか老師→ (日本)おかざきおか先生
という意味になります。
オリジナルでは「さん」付けだったものが、「先生」に変化してるんですね。
おもしろい!!
* * *
ちょっと出版業界の裏話になりますが、
私は担当編集さんや小説家さんたちから「近江さん」と呼ばれます。
思い出してみると、小説のお仕事関係では、たいてい「近江さん」です。
「近江先生」と呼ばれることもありますが、そう呼ぶのは、少し距離のある関係の方のイメージです。
出版社が違っても、編集者さんからは「さん」付けで呼ばれるケースが多いので、出版業界は「さん」がメジャーなんだと思ってました。
一方、『オーダーは探偵に』がコミカライズしたとき、コミックの担当編集者さんに「近江先生」と呼ばれ、とても驚きました。
イラストレーターさんやマンガ家さんもお互い「さん」付けではなく、「先生」と呼ぶかたが多い印象です。
twitterとかでも○○先生って見かけますよね。
小説業界は「さん」付けが多くて、
マンガ業界では慣例的に著者を「先生」と呼ぶのかな~?と想像です。
そういえば、イラストレーターさんたちからは、ほぼ「近江先生」と呼ばれてました。
話を戻して、台湾版のあとがき。
こうして考えると、
イラストレーターや漫画家さんを〈老師〉と呼ぶのは日本文化の影響なのでしょうか?
もし、絵と一緒に敬称も伝わっているとしたら、おもしろいですよね。
どなたか詳しいかた、いないかなあ。
台湾ではクリエーターはみんな〈老師〉と呼ばれるのでしょうか?
もしかして、小説家も〈老師〉?
気になる台湾!!
こういうとき、翻訳は言葉を移しかえるのではなく、文化を訳する作業なんだなあ、としみじみします。
翻訳の世界ってすごく奥深いです。
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